ランタン（III）およびセリウム（III）のN, N'-ビス（2-ピリジルメチル）-N, N'-1，2-エタンジイルビスアラニン錯体（Ln-bpba）のキラルNMRシフト試薬としての性質と結晶構造

摘要

我々の研究室では、水溶性キラルランタニドNMRシフト試薬を用いる絶対配置決定法の開発研究を行ってきた。 これまでの研究で、二つのカルボキシレート基と二つのピリジン環を有する配位子N, N'-ビス（2－ピリジルメチル）－N,N'-1，2－エタンジイルビス{（S）-アラニン}のLa（III）錯体La－（S,S）－bpbaがα-アミノ酸のエナンチオマーシグナルの分離に有効であることを見出していた。 この錯体は、ランタニドシフト試薬としては極めて珍しい反磁性錯体であり、NMR　 シフト試薬においてしばしば問題になる、基質シグナルのブロードニングが少ないという特徴があった。また、対応するCe（III）錯体Ce－（S,S）－bpbaでは、より大きなシグナル分離が認められることを見出していた。