マグネサイトスラリーの排煙脱硫特性

摘要

近年のグローバル化により，地域的な環境汚染対策は地球規模での環境問題対策へと様変わりしている．日本は温暖化対策，廃棄物のリサイクル対策，河川·湖沼の浄化対策等，サスティーナブルな社会の構築を目指し，解決しなければならない数多くの課題を抱えている．酸性雨の根源として化石燃料燃焼排ガスによって発生するSOxがあり，日本では1970年から1992年にわたり集中的に排煙脱硫対策が施された．その後，バブルの崩壊とともに新規設備投資が低迷し，脱硫技術の進歩も停滞している．中国に代表されるアジア各国では石炭にエネルギー需給を高く依存しているためSOx総排出量は年間5千万トンとも言われ，大気汚染は極めて深刻である．日本の高度な公害防止技術は当該地域の汚染防止に貢献すべく役割は大きい．以前より低コストで高脱硫率な脱硫装置及び脱硫剤の開発が望まれている．簡易脱硫装置の研究が進められているが，未だ実用開発には至っていない．さらに，維持費用がかかり発展途上国に普及させるためには色々な面での技術改良が必要である．