アクセス地点によりトータル処理時間が異なるクラウド環境における最適資源割当て方式

摘要

広域に分散した複数のデータセンタから構成されるクラウド環境では、同一データセンタでもアクセス地点により提供するサービス品質が異なる可能性がある。筆者らは、複数資源の同時割当てを前提に、同一データセンタでもアクセス地点によりネットワーク遅延時間が異なることを想定した最適資源割当て方式を提案した。しかし、ネットワーク遅延時間だけでなくデータセンタにおけるサービス処理時間も含めたトータル処理時間を意識するサービスには適用できない。本論文は、複数資源の同時割当てを前提としたクラウド環境において、ネットワーク遅延時間でなくトータル処理時間を考慮した最適資源割当て方式を提案する。その際、複数アクセス地点、特定アクセス地点からの過剰要求発生対処も考慮する。シミュレーション評価により、提案方式は同じ資源量でも従来方式に比べ最大2倍以上の要求を処理できること、特定アクセス地点からの過剰要求発生にも対処できること、を明らかにする。