アクセス位置によりサービス品質が異なるクラウドコンピューティング環境の最適複数資源同時割当て方式

摘要

クラウドコンピューティング環境を構成する個々のデータセンタが提供するサービス品質は、均一ではなく異なる可能性が高い。筆者らは、複数のクラウド資源、複数の資源属性を前提に、各データセンタが提供するサービス品質が異なることを前提とした複数資源同時割当て方式を明らかにした。提案方式は特定のアクセス地点だけを想定したものであり、実際のシステムでは同一センタであってもアクセス地点によりネットワーク遅延時間が異なることが想定される。本稿では、同一センタであってもアクセス地点によりネットワーク遅延時間が異なる場合にも最適な資源割当てを可能とするため、既に提案した複数資源同時割当て方式を拡張することを提案する。また、シミュレーション評価により、拡張方式は従来方式に比べ要求棄却率を大幅に削減でき、かつ必要資源量を最大で20％程度削減できることを示す。なお、今回は基本評価を目的とするため、資源属性としてはネットワーク遅延時間を考慮する。