慢性膵炎の疼治療：膵全摘+自家膵島移植

摘要

慢性膵炎患者治療のメインターゲッ卜は疼痛の緩和と生活の質の改善である。慢性膵炎に対する膵全摘術をはじめとする膵切除術は.侵襲が大きいものの有効なアプローチであり， 他の治療ではコントロールが難しい症例には選択肢の一つである。しかし，膵全摘術は術後の 不安定な血糖コントロールが課題である。自家膵島移植を伴う膵切除術は，除痛効果はそのま まに術後糖尿発症抑制もしくは良好な血糖コントロ 一ルをもたらす治療法として近年注目さ れ.北米を中心に実施されている。膵島移植は門脈に注入する低侵襲の移植法であり，自家移 植のため免疫抑制剤も不要で安全性も高い。膵切除(膵全摘含む）+自家膵島移植は曰本でも少 しずつ実施例が増えてきており（東北大学，大阪大学，国立国際医療研究センターなど)，適応 は限定されるものの近い将来慢性膵炎に対する治まの一つとして確立することが期待される。