~(99m)Tc-ECD脳血流SPECTを用いたAcetazolamide負荷検査における作用発現の時間依存性に関する検討

摘要

〔目的〕Kuwabaraらは, acetazolamide(ACZ)負荷による脳血管拡張反応をPETで経時的に観察し, ACZの作用発現には時間依存性が認められたと報告している.今回われわれは, Technetium-99m ethyl cysteinate dirtier (~(99m)Tc-ECD)を用いて独自のSPECT検査法を考案し, Kuwabaraらの報告に対して追試検証を試みた. 〔方法〕 1.000MBqの~(99m)Tc-ECDを,あらかじめ正確に3等分した.その各々を,安静時(Rest)と, ACZ投与から7.5分後(ACZ7..5)と, 20分後(ACZ20)に,連続して被験者へ繰り返し静注した. Restの~(99m)Tc-ECD投与から5分後に, Dynamic SPECTでのデータ収集を開始した.得られたデータから必要な部分だけを抜き出し, Rest, ACZ7.5, ACZ20の脳血流を反映するSPECT像を再構成した.各SPECT像からROI法でカウントを求め, Restを基準とするACZ7.5とACZ20の相対的脳血流量(脳血流増加率)を引算した. 〔結果〕 ACZ負荷をしなかったNegative Control群の9例18半球では,各時刻の脳血流量が良好に一定して測定され,本法の測定誤差は十分に小さいことが確認された.精査後に脳循環予備能の低下が否定されたPositive Control群の9例18半球では, ACZ7.5で26.2(+-)8.1%,ACZ20で29.3(+-)13.1%の脳血流増加を認めた. Test群は,慢性期の-側性内頚·脳内動脈高度狭窄および閉塞の7例を対象とした. Test群の健側7半球では, ACZ7.5で17.6(+-)6.9%, ACZ20で24.8(+-)11.3%の脳血流増加を認めた.患側7半球では, ACZ7.5で2.8(+-)1.6%, ACZ20では17.3(+-)5.0%の増加に留まった. 〔結論〕 ~(99m)Tc-ECD SPECTを応用した本法の観察でも,患側の脳血管拡張反応は遅延していた.Kuwabaraらの報告と同様に, ACZの作用発現には時間依存性があるものと示唆される.