新しい角膜保存液の開発一第2報　ヒト角膜での検討冊

摘要

単純な組成による強角膜片保存液を開発し，その有用性についてと卜角膜を用いて形態学的検討を行った．検討した組成液は　 minimum essential　 mediumを基本溶液とし　 2．5％コンドロイテン硫酸（分子量27，500）を含むpH 7．33，浸透圧320 m O sm/kgの溶液（保存液－ Ⅰ）で，対照はOPTISOLGS~Rとした．ヒト角膜はEye Bank Eye（Lions Eye Bank of Oregon，米国）を使用した．強角膜片作製後， 1眼をOPTISOL－GS~R，他眼を保存液－Ⅰに4oCで保存し，5，10，14日目の強角膜片内皮細胞を走査電子顕微鏡および透過電子顕微鏡で観察した．ヒト角膜では，両保存液とも保存期間が長くなるにつれて細胞内小器官の変性が出現する傾向にあったが， OPTISOL－GS~Rと保存液－ Ⅰで内皮細胞の形態には差がなかった．保存液－Ⅰは,OPTISOLGS~Rと同程度の角膜内皮細胞の保存が可能であると考えられた．以上のことから，単純な組成から成る保存液でも，ヒト角膜内皮細胞のviabilityが維持される可能性が推定された．