薬物依存症の回復支援プログラムSMARPPの実際

摘要

筆者が薬物依存症の支援にかかわるように なったのは，病棟で行う依存症の治療プログ ラムの立ち上げスタッフになったことがきつ かけである。当時筆者が勤務していた病棟 は，精神障害の影響で他害行為を起こしてし まった患者の社会復帰を支援する専門病棟 だったのだが，病棟スタッフの多くは依存症 の治療プログラム担当にはなりたがらなかつ た。アルコールならいいけれど薬物は抵抗が あるという人，薬物使用は司法的な問題であ り医療の対象ではないのではという人，そも そち依存症のことはよくわからないという人 など，様々であった。そうした中，筆者は前 職が矯正施設の心理職であり，薬物の問題に かかわることに抵抗感がなかつたといろごく 単純な理由から，担当スタッフとなったので ある。