眼科手術におけるセフジニルの術後感染症阻止効果

摘要

2002年2月から2003年12月の1年11カ月間において当科にて眼科手術を施行した症例のうち，術後感染症阻止抗菌薬としてセフジニルが術後投与された166例，207眼を調査対象とした。 疾患名，術式，抗菌薬の投与方法と術後感染阻止効果について検討した結果，白内障が93例，130眼（62．8％）と最も多く，次いで網膜剥離20例,22眼（10．6％），糖尿病網膜症13例，14眼（6．8％），緑内障9例，11眼（5．3％）であった。 最多の白内障は50歳以上の年齢層で70．1％（122/174眼）を占めていた。 セフジニルの投与期間は1～5日に分布し，3日間投与が95．1％の眼数を占め，300mg/日の投与が殆どであった。 また，これらの症例に術前投与された抗菌薬はセファゾリン1gが63．8％，ホスホマイシン2gが28．5％の眼数に投与されていた。 以上の結果，166例，207眼において術後感染症の発症を全く認めなかったことより，上記のような眼科手術の周術期感染予防として，術前にセファゾリン1gを点滴静注し，術後にセフジニル300mg/日，3日間の経口投与は適正な選択と投与方法であると考えられた。