広岡式性格病態分類による双極性障害とcomorbidityの臨床研究－2 双極性障害の薬物療法

摘要

双極性障害の薬物療法は，気分易変性，社会性，積極性により大きく異なる。 それらの3つの因子によって作られた広岡式性格病態分類により，双極性障害55症例の各typeの薬物療法の特徴を述べる。1）気分易変性を有さないAtypeの患者は，Lithium carbonate（Li）62．5％（10/16），carbamazepine（CBZ）or valproic acid（VPA）37．5％（6/16）の有効投与率で，気分易変性を有する患者（AB type，B type）ではLi42．1％（16/38），CBZ or VPA31．6％（12/38）の有効投与率で，前者のほうが有効投与率は高い。2）Active subtypeでは，Liの有効投与率が高まる（81．8％，9/11）。 そのうち4例は，CBZ or VPAの併用投与により精神状態が安定した。 3）A typeはノルアドレナリン優位抗うつ薬の併用投与が有効である（43．7％，7/16）。 AB type，B typeはSSRIの併用投与が有効であることが多い（23．7％，9/38）。 4）双極性障害の多くは抗不安薬を併用投与している（74．5％，41/55）。 5）双極性障害のB typeの多くは，向精神薬を併用投与している（66．7％，12/18）。 6）双極Ⅰ型障害，双極Ⅱ型障害，rapid cyclerは，広岡式性格病態分類のタイプごとに有効な薬物療法が比較的共通しており，それらのタイプが異なると薬物療法も異なる。