非びらh性胃食道逆流症（NERD)に対する茯苓飲と六君子湯の交替療法をもとにした治療の試み

摘要

非びらh性胃食道逆流症（NERD)に対してはPPIのみが唯一ガイドラインで推奨された 薬剤であるが，治療抵抗性となることが多く，六君子湯を用いることもある。一方，六君 子湯と成分の類似した茯苓飲は漢方医により使用されているに過ぎない。我々はNERD症例に対して六君子湯または茯芩飲を単独またはPPI併用下に投与し，Fス ケール問診票により効果を評価しながら検討を行った。2010年4月カゝら2013年7月までに当院を受診し，内視鏡検査とFスケールによりNERDと 診断された患者のうち，3力月以上経過観察ができた症例は20例であった。最終的に茯苓飲の処方に至った11例（茯苓飲群）と，六君子湯の処方に至った9例（六 君子湯群）に分かれた。2群間で患者の背景や病態などを比較したが有意差はなかった。 症状改善度は茯苓飲群70.4%,六君子湯群62.0%で，無効例は茯苓飲群の1例のみであった。 この無効例を除いて全例で50%以上の症状改善度が得られ，茯苓飲群および六君子湯群を 合計した有効率は19/20例（95.0%)となった。NERDの治療は，個々の特異性に応じて六君子湯か茯苓飲かの選択を行うことで非常に 有効性が高まると思われた。