Prostaglandinによる高血圧と脳内出血， その成因と安全対策の盲点

摘要

子宮収縮剤による出血性脳血管障害の副作用が医薬品医療機器総合機構より報告されているが,多くは子宮収縮剤の使用と分娩時の出血性脳血管障害との因果関係の評価が困難とされている。しかし，脳出血，くも膜下出血，子癇，早剥などの事例がみられることがあり，原因解明は緊急の課題である。今回，PGF_(2a)の投与により脳内出血で死亡した症例に ついて，分娩経過，投与方法，投与量などについて検討した。高血圧の成因については妊 娠ラットを用いた薬理学的実験成績より，本症例とPGF_(2a）。による血圧上昇との関連は明ら かであると推測できた。PGF_(2a)は妊娠中毒症の一因でもあるセロトニンとほぼ類似の物質 と思われた。