精神運動興奮の強い不安障害にフルボキサミン（デプロメール~R)が奏効した2症例

摘要

強い精神運動興奮が認められる患者におい て，その臨床症状から統合失調症と診断され 抗精神病薬により治療されるものの，十分な 効果が得られず診断の再考を要する場合があ る。今回，抗精神病薬に対する治療反応が不 良な精神運動興奮の強い患者に対し，診断と治療を見直すことで改善を認めた2症例を経 験した。抗精神病薬に対する反応性がほとh ど見られなかったこと，焦燥感ゃ衝動性が特 定の状況や観念により引き起こされていたこ となどから，不安障害の診断のもとフルボキ サミンマレイン酸塩（デプロ メール,以下フ ルポキサミン）中心の薬物療法に切替えたと ころ，速やかな改善が認められた。精神運動 興奮が強ぐ一見して精神病症状の認められ る場合においても，その誘因を丁寧に診察し， 適切な診断と治療を行うことが重要であると思われた。