高知大学における集団発生の経験から

摘要

百日咳は，百日咳菌により惹起される気道感染症である。従来は小児の感染症であったが，近年では青年'成人での報告が増えている。成人では，比較的長期間持続する咳嗽を主症状として経過するが，ワクチン未接種の乳児では，重篤化する危険性が高い。そのため，成人百日咳の早期診断と治療による，患者周囲の乳幼児への感染予防は非常に重要である。高知大学医学部では百日咳の集団発生を経験した。集団発生を確認した後，休講， 就業制限，感染対策の徹底に加え，クラリスロマイシンの投与により患者数は速やかに減少し，新規兗症を予防，集団発生を終息させることができた。有害事象は軽度の消化器系症状が殆どであり，成人百日咳の治療におけるクラリスロマイシンの有用性が示唆された。