再発をくり返した放射線照射後皮膚血管肉腫の一剖検例

摘要

子宮頸癌に対する放射線療法後8年で放射線照射領域の皮膚に血管肉腫が発生，病変切除，recombinant Interleukin-2（rIL2）局注および電子線照射治療にて経過をみるも，さらに3年後腹腔内転移をきたLて死亡した83歳女性の一剖検例を報告する．再発転移の過程で，一部の腫瘍細胞のp53，vascular endothelial growth factor（VEGF）の発現が増強し，血管肉腫の進展にこれら因子が関与する可能性が考えられた．また文献的に，乳癌放射線療法後の血管肉腫23例と子宮癌放射線療法後の血管肉腫29例の2群間を比較検討した．放射繚療法後から診断までの潜伏期間と照射線量に，これら二群間に有意差を認めた．