日本人における造血幹細胞移植前処置時の抗ヒ卜Tリンパ球ゥサギ免疫グロブリン8 mg/kg投与時の薬物動態

摘要

抗ヒ卜Tリンパ球ゥサギ免疫グロブリン（ATG，ゼッ卜ブリン~R点滴静注液）は，再生不良性貧血を適応と する免疫抑制剤である。世界32力国において「成人患者における同種造血幹細胞移植後の移植片対宿主病 (GVHD)予防」の適応症が追加されたが，本邦未承認である。ATGの薬物動態研究は，日本人において実施 されていない。本研究は，HLA半合致同種造血幹細胞移植患者6名に移植前処置としてATG 2 mg/kgを4日間連続投与し，ATGの薬物動態（最高血清中濃度（Cmax)，消失半減期（tl/2))を求めた。4日間の連続投与により血清中のATG濃度は上昇し，Cmaxは66.0〃g/m/ (±8.8SD)を示し，21.9日（±20.4SD)のti/2でATG 濃度は低下，移植数週間後もATGは血清中で検出された。本結果を欧州での賢移植患者における結果と比較 し，ATGの薬物動態はこれまでの報告と大差ないことが示唆された。