血管内リンパ腫との鑑別が困難であった重症熱性血小板減少症候群

摘要

症例は63歳，女性。高熱，全身倦怠感を主訴に近医を受診した。白血球?血小板減少および肝機能障害を認 め当科に入院した。骨髄検査では血球貪食像を認め，フェリチンは著明な高値でDICを伴っており，血球貪食 症候群と診断した。末梢血液には異型成熟Bリンパ球の出現を認めた。臨床所見より血管内リンパ腫を強く 疑った。ランダム皮膚生検も施行したが，診断は得られなかった。一時的に意識障害の悪化がみられたが，ス テロイド?輸血?抗菌薬など支持療法を行い，徐々に臨床症状の改善が得られた。同時期に本邦で1例目の重 症熱性血小板減少症候群（severe fever with thrombocytopenia syndrome, SFTS)が確認され，本症例について も入院時に保存していた血清を用いて検査を行い，SFTSと診断した。SFTSは，血球貪食症候群の基礎疾患の 一つとして鑑別すべき重要な疾患である。