再生不良性貧血と低形成MDSの鑑別一小児科の立場から

摘要

小児骨髄不全の代表的疾患は再生不良性貧血(AA) ，である。AAは，骨髄での3血球系統（好中球系，赤血 球系および血小板系）の産生が減少し，その結果，末梢 血での好中球，赤血球および血小板数のすべてが減少す る1つの症候群である。診断にあたっては，骨髄標本で 各血球成分に形態異常を認めないこと，芽球の出現を認 めないこと，線維成分の増加を認めないこと，壊死巣を 認めないことおよび肉芽腫や固形腫瘍の骨髄転移などの 占拠性病変を認めないことなどが必要とされている。実 際に，汎血球減少がみられる疾患は多数存在するので， 汎血球減少をきたしうる他の疾患を除外することによつ て初めてAAと診断することができる。