Picture in Clinical Hematology No.130

摘要

水痘帯状疱疹ウィルスと単純ヘルペスウィルスの共再活性化による皮膚病変 水痘帯状疱疹ウィルス（VZV）と単純ヘルペスウィルス（HSV）の共再活性化による皮疹は比 較的まれな現象である。免疫不全の有無にかかわらず共再活性化による皮疹の報告があり,デルマトームは同一のこともあれば，異なる部位に再活性化による皮疹が起きることもある。患者は66 歳女性。びまh性大細胞型B細胞リンパ腫の再発に対して救援化学療法と自家末梢血幹細胞移植を行った2ヶ月後に，10日間の発熱と左臀部の皮疹を主訴に来院した。身体所見上,左鼠蹊部?外?陰部?臀部?大腿後面に発赤?水泡を認めた（図）。臨床的にVZV再活性化に伴う帯状疱疹と診 断され，加療目的に入院した。血清および水泡内容液（図内C）のPCR検査で，VZVだけでなく,HSV-1が陽性となった。図内A,Bから採取した水泡内容液ではVZVのみが検出された。血液 学的検査でVZV IgG, HSV-1 IgGは陽性，VZV IgM, HSV-1 IgMは陰性であり,これらのウィルスの 再活性化による皮膚病変と診断した。入院後，アシクロビル点滴投与を8日間行った後,バラシク ロビルを7日間内服し，全ての病変は痂皮化した。