胸部単純写真：読影のための基本的事項とreading errorを避けるための留意点

摘要

日本には，CTの機械が横溢している．具体的には，2011年のOECDのデータ1によると,本邦のCT稼働台数は12943台とされている．同年の全国のコンビニエンスストアの店舗数が44403店であり, 2巷にはコンビニ4軒があればCTが1台ある計算となる．言うまでもなく，CTは現在の医療に於いて欠くことのできない画像診断手法であり，とくにMRIや超音波の寄与が少ない呼吸器診療においてはその画像診断の主流であると言っても過言ではない．最近では低線量化によって肺がhのスクリーニングにも積極的に使われるようになってきているが，それにもかかわらず胸部単純X線写真の撮像件数は決して減少してはいない．胸部単純X線写真は安価で，簡便であり，情報量も多いからであり，呼吸器診療のスタートラインにおけるその存在意義は既に確立している．本稿では，胸部単純X線写真の読影の基本について解剖学的事項を中心に述べ，また肺がhのreading errorを減らすための留意点についても述べてみたい．