局所進行非小細胞肺癌に対する根治的化学放射線同時併用療法後の外科切除例の検討

摘要

【背景】局所進行非小細胞肺癌に根治的化学放射線同時併用療法（CRT）が行われた後の局所増悪に対し，salvage surgery（SS）として外科切除が施行される場合がある．【目的】当科の非小細胞肺癌に対する根治的化学放射線同時併用療法後の切除例について検討した．【症例と方法】2000年1月から2013年3月にプラチナ製剤を含む2剤を中心とする化学療法に60Gy未満の放射線による術前導入化学放射線療法後に切除を施行した84例（i-CRT群）と60Gy以上のCRT後に切除を施行した15例（SS群），計99例について後方視的に検討した．【結果】全99例の内訳は男性/女性が81/18例，年齢の中央値は59（34-77）歳，PS0/1/2は77/21/1例，組織型は腺癌/扁平上皮癌/大細胞癌/その他が57/22/4/16例で，これらの因子について2群間に有意差を認めなかった．臨床病期はII/IIIA/IIIB/IV期がi-CRT群で12/51（60.7%）/21（25.0%）/0例，SS群では1/5（33.3%）/8（53.3%）/1例でSS群には有意にIIIB期が多く（p=0.0389），また葉切除/肺全摘がi-CRT群は49/35例，SS群では葉切除/肺全摘が13/2が施行された（p=0.0367）．術前治療の組織学効果判定はi-CRT群でEf.0/1a/1b/2/3/不明が1/7/15/45/15/1例，SS群で0/5/0/7/0例で2群間に有意差を認めなかった．術後5年生存率はi-CRTで64.0%（41.7-75.4）%，SS群で66.0（95%CI：41.7-90.3）%で共に有意さを認めなかった．周術期死亡はi-CRT群で間質性肺炎と現病の進行（脳転移）が各1例で，SS群では死亡例を認めなかった．【結語】適応とすべき症例の選択が課題であるが，局所進行非小細胞肺癌に対する根治的化学放射線同時併用療法後の局所増悪に対する切除は治療の選択肢として検討する余地がある．