58.悪性胸壁腫瘍と鑑別を要した放線菌症の1例

摘要

症例は47歳男性.右前胸部膨隆及び疼痛を主訴に他院を受診し，悪性胸壁腫瘍の疑いにて当院腫瘍内科を紹介受診した.右前胸部に圧痛を伴う直径10cmの膨隆を認め，血液検査で炎症性反応が亢進していた.胸部CTで胸壁及び肺内に腫瘤を認めた.悪性胸壁腫瘍，胸壁浸潤肺癌も疑い，胸壁生検を行った.病理検査にて悪性所見は認めず，グラム染色で放線菌症の診断となった.抗生剤を投与したところ，約1カ月で腫瘤陰影は縮小した.胸壁腫瘤の鑑別診断として放線菌症も考慮に入れるべき疾患である.