56.嚢胞壁に発生した大細胞神経内分泌癌（LCNEC)の1切除例

摘要

症例は73歳男性.既往歴はサルコイドーシス.2年前に近医で胸部異常影を指摘され，当院呼吸器内科を受診した.胸部CTで両側に多発する巨大肺嚢胞を認め，当院でフォローされていたが，経過中に右下葉の嚢胞壁に接する結節が出現した.CTガイド下針生検で非小細胞肺癌の診断となった(cT3N1M0，StageIIIA)ため，手術目的で当科紹介となり，右下葉切除術+リンパ節郭清を施行した.病理組織所見では肥厚した嚢胞壁内及び嚢胞壁に接して増殖する充実性の腫瘍を認めた.嚢胞壁内を連続性に進展する浸潤径11cmを越える単一の腫瘍で，免疫染色にて大細胞神経内分泌癌と診断された（pT4N2M0，StageIIIB).気腫性嚢胞を有する肺癌は，画像的に診断が難しく，腫瘍径を評価することが難しいことが多い.嚢胞壁に接して発生し，壁を沿うような形で進展した巨大な大細胞神経内分泌癌の1例を経験したので報告する.