閉塞型睡眠時無呼吸症候群を呈した慢性甲状腺炎の一例

摘要

肥満の52歳の男性が，ここ5年間に呼吸困難で入退院を繰り返していた。 睡眠時無呼吸症候群（Sleep Apnea Syndrome，以下SASと略す）を疑われて，患者は平成12年5月当科に入院した。 入院時に高CK血症を認め，甲状腺機能低下状態の慢性甲状腺炎と診断された。 甲状腺ホルモン製剤とNasal－CPAP （Nasal－Continuous Positive Airway Pressure，以下CPAPと略す）の使用にて，夜間低酸素血症の改善と甲状腺機能の正常化を得た。 また甲状腺機能正常化の17カ月後にCPAPから離脱できた。 SASに合併する甲状腺機能低下症の頻度は1％程度であり，両者の症状はよく似ている。 SAS患者においては甲状腺機能低下症の症状の有無を注意深く探索する必要がある。