汗孔癌2例のダ一モスコピー像の検討

摘要

症例1:88歳，女性.下腹部の28 mm x 25 mm，表面乳頭状，褐色調の隆起性結節で，ダ 一モスコピー上，桃白色網状および紅色胞巣状構造が主体であった.臨床像およびダーモスコ ピ一所見より汗孔腫と診断した.症例2 :89歳，女性.左下腿後面の直径20 mm,皮膚潰瘍と 黒色斑を伴う隆起性結節で，ダ一モスコピー上，多彩な血管形成がみられた.ダーモスコピー 所見より有棘細胞癌と診断した.切除標本病理組織像で2例とも汗孔癌(porocarcinoma: PC)と診断した.PCは，高齢者の下肢に好発する比較的稀な皮膚付属器悪性腫瘍である.近 年，PCを含め低色素性腫瘍の臨床診断にダ一モスコピー所見が利用されつつある.腹部と下 腿のPCを1例ずつ経験したのでダ一モスコピー所見を中心に検討した.ダーモスコピー所見 で，桃白色無構造内部にヘアピン血管，線状不整血管など多彩な血管増生があればPCも鑑別 に挙げるべきである.