単純へルぺスゥィルスの再活性化による口腔内?食道潰瘍を呈した薬剤性過敏症症候群の1例

摘要

59歳，女性.乳癌脳転移摘出術後，ゾニサミドを開始した40日後より膝に紅斑が出現し 全身に拡大した.初診時，38°Cの発熱，顔面の潮紅·腫脹，全身に半米粒大までの紅斑の多 発，頰粘膜びらhを認めた.頸部?鼠径部リンパ節腫脹，白血球11，100/mul，好酸球36%，肝 酵素はAST 102IU/l, ALT 97IU/lと上昇し，ゾニサミドによる薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome ： DIHS)と診断し，プレドニゾロソ(PSL)60 mg/日を 開始した.一旦軽快したが発症16日目に発熱，皮疹，口腔内びらhが再燃し，肝酵素値も AST 97 IU/ml, ALT 117 IU/mlと増悪した.DIHSの2峰目と判断しPSL同量を継続したが 口唇?歯肉びらhのみが遷延した.発症25曰目に舌潰瘍が多発し，食道潰瘍を認めた.舌· 食道の生検組織像で核内封入体を認め，免疫組織染色で単純へルぺスウィルス（herpes simplex syndrome ： HSV)陽性であった.発症30日目ヒトへルぺスウィルス6型（human herpes virus-6 ： HHV-6)の抗体価上昇およびゾニサミドの薬剤リンパ球刺激試験陽性化がみられ た.HSVはHHV-6とともにDIHSの病態に関与するへルぺスウィルス科の1つと考えた.