東大学文学部における漢方医学の歴史」の授業実践

摘要

本稿では、2009学期に東京大学文学部.同大大学院人文社会系研究科にて開講された漢方医学の歴史のゼミナ—ルについて取りあげ、とりわけ学生側の具体的な受講動機や学びに重きをおいた分析を試みた。学生たちは、各自の東洋医学への関心を土台とし、漢方医学の通史的な概説をゼミに期待していた。そして、ゼミをつうじて、漢方医学にたいする偏見の払拭と正しい知識や認識の習得、西洋医学が主流となっている現行の医療へ漢方医学が導入され、研究が発展していくことへの期待が学生たちの間で共有された。このことは、医学.薬学教育の現場での今後の医学史教育の内容や方向性、さらには可能性を示唆するものとして考えられよう。