医師.薬剤師リレー治験録(173)附子について

摘要

緒言:田畑隆一郎先生は、著『傷寒論の謎—二味の薬徴—』の中で「恐らくは長い長い人体実験を通して、種々の試行錯誤を重ねた上で確立したであろぅ傷寒論医学の中で、ことにトリカブトの使用方法、配伍法は東洋医学の精華と呼ぶ以外に表現のしょぅがない。西洋の民間薬系の中にもアルカロィドを含むものがあるが、系統だった学問体系を形作るには至らず西洋薬の中に取り込まれて利用されているに過ぎない」と述べている。北半球に広く分布するトリカブトは、その塊根を毒物として狩猟に使われたり、その毒性を人類に利用したことが歴史的に知られている。