大腸癌術後，悪性腫瘍との鑑別を要した肺放線菌症の1例

摘要

要旨：症例は72歳女性.大腸癌T2N1M0 atage IIIAにて低位前方切除術施行した.10力月後，咳嗽持続するため，胸部X線施行し，中葉縦隔側S5に充実性の結節を認めたため，気管支鏡検査行うも悪性所見を認めなかった.原発性肺癌か，転移性肺癌が否定できないことから，FDG-PETを行い，SUV値13.7と高集積を認めたため，治療診断を踏まえ，手術切除を行った.術後診断は肺放線菌症であった.肺放線菌症は気管支鏡での診断は困難との報告例が多く，他の炎症性疾患でFDG-PET偽陽性を示す報告例は多く見られるものの，肺放線菌症での偽陽性症例の報告は少ない.炎症性疾患である肺放線菌症の鑑別も念頭におき診断する必要があると思われた.