市中肺炎の重症度分類: PSI, CURB-65, A-DROPの比較

摘要

市中肺炎重症度分類としてPneumonia Severity Index (PSI), CURB-65に次いで, 2005年日本呼吸器学会よりA-DROPが新しく提唱された.当科に入院し治療が行われた市中肺炎連続523例を対象として,その有用性について検討した.各重症度分類ともに,重症度が増すにつれ,30日死亡率の増加,入院期間の長期化,抗菌薬静脈投与期間の長期化が認められた. PSII-III,CURB-65 0-1,A-DROP 0-1を低リスクとしたときの, 30日死亡に対する感度,特異度は,それぞれPSI97%, 52%, CURB-6587%, 62%,A-DROP　97%,54%であった.30日死亡に対するA-DROPのROC曲線はPSlとCURB-65の間に位置した.A-DROPは,簡便でPSlに匹敵する予後予測能を有しており,市中肺炎患者の診断に有用であると考えられる.