自己血注入による気管支鏡的肺容量減少療法

摘要

背景:自己血を用いた気腫性肺疾患に対する新規の気管支鏡的肺容量減少療法を考案した.対象:内科治療では呼吸困難を改善しえない気腫性肺疾患4例.方法:胸部CT上で選択した高度気腫性領域にX線透視下で経気管支鏡的カテーテルを挿入し,一回2mLの新鮮自己血とトロンビン1,000単位を注入散布した.1度の気管支鏡挿入下に,注入部位を変更して平均5.3領域に注入を繰り返した.結果:重篤な合併症はなく,認容性は良好であった.全例で呼吸困難感の改善が得られた.肺機能では,努力性肺活量は平均2.68から2.75Lへ,1秒量は1.10から1.25Lへ増加し,機能的残気量は5.09から4.75Lへ全肺気量は7.18から6,80Lへ減少した.肺拡散能には著変なく,血液ガス分析は3例で,6分間歩行距離は2例で改善した.結論:本法は通常の局所麻酔下で短時間に施行可能で,低侵葉性かつ簡便な手技である.今後,症例集積により標準的治療としての確立を目指し,更なる検討が望まれる.