肺過誤腫を合併した肝血管筋脂肪腫の1例

摘要

症例は53歳の女性.成人病検診にて胆道系酵素の軽度上昇を認め精査目的に来院, USにて辺緑部に高エコー領域を有する等エコー主体の60mmの腫瘤を認めた. CTでは単純で等吸収でダイナミックの早期相で濃染像を示し,血管造影でも濃染像を認めプーリングはなかった.背景に肝炎の存在はないが左肺下葉に1 cmの腫瘤を認め,肺転移を伴う肝細胞癌を疑い新生検を施行,明調な小型細胞と核多形性の目立つ大型好酸性細胞を混在して認め,低分化型肝細胞癌と診断し,肝左葉切除,左肺下葉部分切除を施行した.肝は平滑筋成分主体に血管成分,辺縁にわずかに脂肪成分を混在する血管筋脂肪腫で,肺は類軟骨様過誤腫であった.免疫組織的には平滑筋多形性細胞にHMB-45が陽性所見を示した.本例は脂肪成分が少なく画像診断はHCCとの鑑別が困難で,非結節性硬化症症例であるが,過誤腫病変を偶然合併した点が非常に稀で術前診断を困難としたと考えられた.