人工臓器と感染

摘要

各分野における人工臓器の発展は目覚ましいが，依然として共通の大きな未解決分野が存在する。人工 臓器の臨床応用にあたって，最も治療に難渋し予後不良なものの1つが感染症である。長らくその対策が 検討されてきたが未だ十分とはいえず，今後のさらなる研究展開が必要な分野といえよう。今回，最近の 進歩を踏まえ，人工臓器感染に関連する各分野において第一線でご活躍されている研究者，および臨床医 の先生方に，人工臓器感染における細菌学的基礎やその解析，臨床診断，実際の治療法や予防法などにつ いて最新の知見を詳述いただいた。力テーテルゃ血液浄化用バスキュラーアクセス感染の現状とその制御 の試み，口腔内細菌による感染性心内膜炎の原因となる各種細菌の病原性の差異とその評価法，植込型補 助人工心臓や人工血管感染の診断と治療など，幅広い分野で最新の知見と今後の展望が網羅されている。 会員諸氏におかれては，この特集が今後の研究，日常臨床における大きな一助となれば幸いである。