熱電変換素子を用いた生体内埋め込み機器の温度調整機構に関する基礎的検討

摘要

本報告では,生体内において局部的に発生した熟を熱分散能力の高い血流等へ輸送·分散する手段として,温度調節が容易であるベルチェ素子と熱伝導の長いヒートパイプを用いた熱輸送システムを提案し,基礎的な検討を行った。 さらに,これらの素子と供給電力制御装置とを併用した温度調整機構を構成し,温度制御能力についても検討を行った。 その結果,人工機器の最高発熱量が20Wに達した場合においても熱の輸送が可能であることが確認された.さらに,PID制御を用いた供給電力制御装置を用い,ベルチェ素手への供給電力を調整し,素子の吸熱量を制御することにより,熱源の温度を自由に調節できることが確認された。 また,熱源消費電力20Wにおいても熱源温度を42°Cから37degCへ冷却,維持することが可能であると確認された。 冷却に要する時間は熱源消費電力5Wにおいては26秒,熱源消費電力10Wにおいては37秒,熱源消費電力15Wにおいては57秒,熱源消費電力20Wにおいては104秒を要するという結果を得た.