ローラーポンプの圧力フィードバック制御装置の開発と臨床応用

摘要

ローラーポンプには多くの利点があるが,回路に大きな抵抗が生じた場合には異常な回路内圧が発生する問題点がある。 我々は,回路内圧によりローラーポンプの回転数を制御する装置を開発し,人工心肺の送血および脱血ポンプの安全装置として596例のポンプケースに使用した。 さらに,一定の灌流圧力を維持する必要のある臓器灌流用の血液ポンプにも2例使用した。 その結果,安全装置として使用した症例では,通常は何らローラーポンプに制御が行われず,回路の圧力が設定した値を超えた時のみローラーポンプの回転数が抑制され,循環を維持しながら危険な圧力の発生を防ぐことができた。 臓器灌流に使用した症例では,常に灌流圧力によりローラーポンプの回転数が制御され,求めた圧力の範囲で灌流を維持することができた。 今後,透析等の血液ポンプや人工心肺の自動化などへの応用を課題とする。