小児循環器領域における携帯型酸素濃縮装置の使用経験

摘要

【背景】携帯型酸素濃縮装置（portable oxygen concentrator ； POC)は，近年成人領域で普及し てきているが，小児領域でのまとまつた報告はない.【目的】POCの導入が，小児循環器領域患者のquality of life向上に寄与するか検討すること.【対象および方法】携帯型酸素濃縮装置ハイサンソポータブルalpha~R (POCalpha)を試験導入した患者 7名およびその家族に対し，携帯性および操作性，発生音，バッテリー機能，夜間連続流 使用下での経皮的動脈血酸素飽和度（SpO2)などについてアンケート調査を施行した.【結果】携帯性および操作性：3名（43%)が従来の酸素ボンベに比し重いと感じていた一方で，4名（57%)は外出しやすくなつたと回答しだ機器の操作は小学校就学前の小児でも使用で き簡便であった.発生音：室内，特に夜間では，4名（57%)が据え置き型濃縮装置に比し発生 音が大きいと感じていた.バッテリー機能：5名（72%)が必要な予備バッテリー数は2個と回 答した.学校でPOCalphaの使用許可が得られなかつた理由は，すべてバッテリ一関連の問題であつ た.最低SpO2 ： POCalpha導入前後で有意差を認めなかつた.【考察】POCaは従来の酸素濃縮装置や酸素ボンベに比し優れた点を有するものの，両者の長所 を併せ持つとまでは言い難く，依然改善の余地がある.