子宮頚部腺病初期病変で円錐切除のみで払1lowupした3症例 －頚部腺病でも円錐切除後妊娠が可能か

摘要

子宮頚部腺癌初期病変（AIS2例，頚部腺病Ial例）を円錐切除のみでfollow upした3症例について報告した．3例中，元来正常性周期だった2例中1例は円錐切除術後自然に妊娠した．残る1例は無排卵·無月経であったが，Clomiphene＋hMG＋hCG排卵誘発後妊娠·出産した．3例とも円錐切除後5年，3年，2年の経過中に再発は認められていない．一方1985年から2000年までの16年間に産業医科大学産婦人科および関連病院で子宮頚部初期病変を円錐切除された症例124例中，挙児希望があり円錐切除のみでfollow upされた41例中11例（27％）が妊娠した．11例中自然流産2例，人工流産1例，早産1例であった．妊娠中にSchirodkar手術を受けた例が4例あった．妊娠11例中に子宮内人工受精によるものが1例あったが，全体の妊娠率27％は，円錐切除のみでの経過観察開始時1年（1985～1986年）の産業医科大学の全不妊症患者の妊娠率22％よりも高かった（統計的有意差は無し）．非妊娠例中にdysplasiaとPAP ClassIIIbの再発の2例が認められたが死亡例はなかった．結論として，初期子宮頚部腺癌でも円錐切除術が治療的であればその後の妊娠·出産は症例によっては可能であると思われる．