オルガノン·スポンサード　シンポジウム「High quality Egg＆Embryo」1l）卵巣機能とART

摘要

ARTにおける卵巣刺激の目的は，受精·分割率の高い良質卵を適当数発育させ適切な時期に採卵すること，さらに着床に適した子宮内膜環境を作り出すことにある．一般に卵巣機能が正常な患者を対象とするARTでは，卵巣刺激法もまた卵巣機能が正常な症例を対象に設定されているので，卵巣刺激に対する反応が悪い症例の場合（Low responder）には，通常の卵巣刺激法では十分な効果を得られず，良質卵を得られないことが多い．一方，卵巣刺激に過剰反応する症例の場合（highresponder）には，過剰の卵胞発育が起こるとともに，高エストロゲン状態を呈しやすく，副作用である卵巣過剰刺激症候群（OHSS）の発生率が上昇し，また着床時の内膜異常を起こしやすい．それらの結果として，Low responderやHigh responder症例では妊娠率は低下し，十分なARTの成績が得られず，難治性の症例になる．ARTの成績が一定の水準に達した現在，このような難治性症例に対する有効な卵巣刺激法の開発が期待されている．