失神を契機に見つかった 若年者の左主幹部冠動脈瘤閉塞に対し冠動脈バイパス術を行った1例

摘要

症例は20歳，女性.強い労作後の胸痛の後の意識消失にて当院外来受診された.来院時に心筋逸脱酵素の軽度上昇とトロポニンT陽性を認めたため，虚血性心疾患を疑い， 心臓CTおよび冠動脈造影検査を行ったところ，左主幹部に冠動脈瘤を認めた.左冠動脈 造影では一部の左回旋枝が造影さtlるのみで，瘤はほぼ閉塞し，右冠動脈からの側副血行 路にて左冠動脈血流は保たれていた.手術適応にて，冠動脈バイパス術(左内胸動脈一左 前下行枝，左内胸動脈一離断右内胸動脈一左回旋枝後側方枝）を行った.術後の経過は良 好であった.若年者の失神の鑑別診断として，冠動脈の形態異常は非常に稀であるが留意 する必要がある.冠動脈瘤の原因は動脈硬化性が主であるが，若年者においては川崎病に よるもの，先天性などが考慮される.本症例は家族歴ゃ瘤の形態から先天性が最も考えら れた.