脂肪組織由来幹細胞の脂肪および血管内皮細胞への分化に対する運動トレーニングの影響

摘要

近年、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病のリスクファクターである肥満の増加が深刻な社会問題となっている。 そのため、肥満を予防することは非常に重要な課題である。 運動トレーニングは脂肪組織の減少を引き起こし、肥満および生活習慣病の予防·改善手段として有効であると認められ、広く用いられている。この運動トレーニングによる脂肪組織減少の原因は、脂肪細胞のサイズの縮小とされているが、脂肪組織あたりの脂肪細胞数の減少を伴っている場合も報告されている。この運動トレーニングによる脂肪細胞数減少のメカニズムについてはまだよくわかっていないが、脂肪組織内に存在し、脂肪細胞や血管内皮細胞に分化する脂肪組織由来幹細胞（adipose tissu-ederived stem cells：ADSC）の脂肪細胞への分化が運動トレーニングによって抑制されることが原因の1つである、と推察される。 そこで本研究では、ADSCの脂肪細胞への分化、さらに血管内皮細胞への分化に対する運動トレーニングの影響を検討した。