げつ歯類を用いた高次脳機能評価法開発と 環境化学物質の神経毒性評価への適用

摘要

発達期の脳が環境化学物質の曝露に対して感受性が高 く影響を受けやすいことは疑いの余地がないにも関わら ず，健康リスク評価における影響指標として脳機能やそ の発達が用いられた事例は,残念ながら非常に少ない。われわれの研究グループは，リスク評価に資するための '基盤となる研究として，ダイォキシン類をはじめとした 環境中有害化学物質を主たる対象に，発達期のラットや マウスに対して低用量の化学物質を曝露し，脳において どのような影響が顕れるのかを調べている。本稿では， ダイォキシン類の発達神経毒性に関するこれまでの研究 成果について紹介する。衛生学の専門家は，環境保全と 人類の健康の予防?増進のため，ライフサイエンスの飛 躍的な進展によってもたらされる最新知識と技術をァッ プデートしながら，サイエンスに立脚したより正確な情 報を発信していく必要がある。われわれの研究グループ が開発し，ここで紹介する行動毒性試験のいくつかは， ライフサイエンス全般においても最先端であると自負す るものである。