大気中微小粒子状物質(PM2.5)から生じる 酸化ス卜レスと脳神経障害：第2部

摘要

最近，中国などから飛来する微小粒子状物質（PM2.5, 粒子の径が2.5mum以下の粒子，正確には粒子の捕集効 率が50%となる空気力学的径が2.5mumとなる粒子）が 人々の健康に不安を与えている。微小粒子状物質は人の死亡率の増加や呼吸器疾患ある いは循環器疾患の発症増加に関連していることが知られている。さらに，長期間微小粒子状物質に晒されると， 上部気道や下部気道で慢性的気道炎症を起こし，さらに 脳を含む全身に取り込まれ炎症が誘起されるという。ま た，微小粒子状物質は鼻部の嗅覚上皮関門を介しても脳 に取り込まれ，そこでも炎症を起こし認知機能の低下や 脳の病理学的異常を引き起こすことが疫学研究および実 験研究で判明してきた。