心臓移植待機患者の課題補助人工心臓装着患者について

摘要

2011年春に2機種の植込み型補助人工心臓(VAD) が保険収載された。重症心不全治療のモダリティの点でようやくわが国も欧米に近付くことができた。しかし，植込み型VADの適応は心臓移植への橋渡し(bridge to transplant ： BTT)に限定されており，長期在宅治療としての永久ネ直込み治療(destination therapy ：DT)は認可されていない。2010年7月の改正臓器移植法の施行によって脳死ドナーは年間55例，心臓ドナーは37例と従来の数倍に飛躍的に増加した。しかし依然として，米国はおろかアジアの諸国よりもドナーは少なく ，ドナー不足がこれからも続くことが予想される。これまでわが国の心臓移植の待機期間は2年をはるかに超えていたが， 改正臓器移植法によつて待機期間が短縮することが期待されている。どの程度短くなるかは予測することは困難であるが，それでも2年近くに及ぶのではないかと筆者は危惧している。