生体腎移植後に発生した腸骨静脈血栓症の1例

摘要

一般に，術後深部静脈血栓症の発生頻度は，外科系手術において10-30%前後とされ，腎移植後においては，深部静脈血栓症，肺動脈血栓症の単独あるいは両者の合併例を併せて腎移植患者の8%にみられると報告されている2-4)。また，腎移植後の深部静脈血栓症では,血栓が腎静脈吻合部を越えて中枢側へ進展すると腎静脈血栓を生じgraft lossに至るため，その治療や予防は非常に重要である。今回われわれは，生体腎移植術後第2病日に移植側の大腿静脈から腸骨静脈にかけて血栓を生じた1例を経験したので報告する。