眼内レンズ再縫着後瞳孔捕獲に対するTram-track Suture法による整復

摘要

目的：眼内レンズ（IOL)毛様溝縫着術後の瞳孔捕獲に対してTram-track sutum法による治 療を行い，視機能の変化および術後IOLの位置について評価する。症例：67歳，男性。左眼IOL亜脱臼のため前医でIOL抜去+IOL縫着術を施行し，術後IOLの偏 位を認め，再度IOL縫着(CZ70BD. Alcon社）を行った。術後3か月より左眼の充血，視力低下 を自覚し，はなみずき眼科を受診した。左眼視力は0.6 (0.8x-1.5Docyl-2.25D 78°),左眼 圧は26mmHg,左眼に毛様充血，IOLの瞳孔捕獲を認めた。散瞳下でIOL整復を行ったのち，縮 瞳薬で治療するも瞳孔捕獲の再発を繰り返した。Tram-track suture法にて12時および6時方向 に縫着用10-0プロリン糸をIOLと虹彩間に通糸し，IOLの脱出をブロックした。術後眼圧は正常 化し，裸眼視力および乱視も改善した。OPD-Scan~Rm (NIDEK社）によりコントラス卜感度を波 面収差から他覚的にシミュレーションした解析グラフのa「ea ratio値は，術前の14.3%から術後 21.2%まで改善した。また，前眼部光干渉断層計（AS-0CT/CASIA2)によりIOL前面に2本平行 したブロック糸が確認でき，IOLとの距離は左右均等，IOLの傾きと偏位は軽度で，術後観察2年間 再発はなく経過良好であつた。結論：Tram-track suture法は縫着IOLの偏位，瞳孔捕獲の治療に有効で，CASIA2 AS-OCTはIOL偏位の評価に有用であった。