陳旧性顔面神絰麻痺を 合併した加齢性眼瞼下

摘要

陳旧性片側顔面神経麻痺（以下，片側麻痺） において，眼瞼部の左右非対称性は整容的に も患者の大きな苦痛になることが多い。非対 称（特に上眼瞼下垂）を生じる要因はいくつ かあるが最も多いのは前頭筋麻痺による眉 毛下垂が惹起する上眼險下垂である。一方， 中年以降の症例などでは，背景に加齢性（腱 膜性）眼瞼下垂が存在することも多く，眉毛 下垂と合併するため若年者より眼瞼下垂が顕 在化しやすい。この病態においては，麻痺側の眉毛が下降すると同時に，Heringの法則 に従う例では非麻痺側の前頭筋の代償性収縮 が亢進して眉毛高が上昇するため，眉毛高と 險裂縦径の左右差がさらに大きくなる。