逆行性脳灌流法による弓部大動脈置換

摘要

逆行性脳灌流（RCP)を導入したのは，1986年5月，Stanford A型急性大動脈解離 に対する上行大動脈置換術であった.超低体温循 環停止下に解離した大動脈を遮断しないopen distal anastomosisで吻合を行い，終了時おは空気を 排除する目的でRCPを用いた.次いで同年6月 に行った巨大上行弓部大動脈瘤の手術記録に残さ れたのが，このシェーマである.大腿動脈送血，上下大静脈脱血で体外循環を開 始し冷却した.瘤化した上行大動脈の遠位で遮断 し，上行大動脈瘤を切開して心筋保護液は選択的 に左右の冠状動脈口に灌流した.