海綿状態を呈する炎症性皮膚疾患（spongiotic dermatitis)ならびに乾癬様パターンをとる炎症性皮膚疾患（psoriasiform dermatitis)

摘要

炎症性皮膚疾患の病理診断の手順は，アツカーマンのパターン分析に基づくアルゴリズムによる方法が有名であるが，現在では，ほとhどの皮膚病理の教本がその考え方を取り入れている.この方法は，おそらくは，多くの経験ある皮膚科医が無意識のうちに実践していたものと考えられるが，アツカーマンによって明確に体系化されたものである（図1).まずは基本的 パターンを認識し（図2)，更なるパターンを識別しな がら，いくつかの特徴的病理像の組み合わせで診断していくこの方法は，効率的で実践的な病理診断法である.実際の臨床では，炎症性皮膚疾患は，その臨床病理像において様々な顔を持ち，この方法だけで確実に病理診断できないことも多く，また，杓子定規にこのアルゴリズムにとらわれる必要もない.しかし，皮膚 科医が炎症性皮膚疾患を診断していく過程で，臨床像の把握と，基本的にはこの手法の流れで，論理的で一定の方法で病理診断すれば，少なくとも誤診は減らすことができるものと考えられる.