PTSD患者の難治性睡眠障害に対するchlorpromazine追加投与の効果 主観的および客観的睡眠指標を用いた評価

摘要

PTSDでは不眠や反復する悪夢などの睡眠障害が高頻度に出現する。一般にPTSD の薬物療法においては，中核症状に有効とされる選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI)と睡眠薬の併用療法が行われることが多いが，治療抵抗性の難治性睡眠障害を示すPTSD患者に遭遇することは少なくない。本研究ではssmと睡眠薬の併用療法を行つているにもかかわらず難治性睡眠障害を有したPTSD患者5名にchlorpromazine 25-75mgの追加投与を4週間行い，PTSD症状全体と睡眠障害に対する効果を検討した。その結 果chlorpromazineの追加投与はPTSD症状全体を軽減させ，主観的および客観的睡眠障害 を改善させた。客観的睡眠指標である睡眠ポリグラフ所見では，深睡眠の割合を示す％ SWSが著明に増加し，悪夢の強度と正の相関を示す％ REM interruptionが顕著に減少した。