うつ状態(抑うつ症候群)という「状態像診断」の今日的意義

摘要

うつ病概念の広範化によって,かなり異質で,多様なうつ状態がうつ病と診断されているのがわが国,そして世界の現状だと思われる。 DSM-ⅣやICD-10の抑うつ性障害(Depressive Disorders)をひとまず「うつ病」と呼hでいるとみることもできる。 反復性うつ病の場合はかなり特定できるが,大うつ病単一エピソード(DSM-IV)やうつ病エピソード(ICD-10)の場合は症状と持続期間で診断されるのであるから,その基準を満たしたからといって,従来の内因性うつ病と同じものとは断定できず,それより広い範囲のうつ状態が入ってくる可能性が高い。